今日の読了

71. × "日本語を叱る!" 加賀野井秀一

日本語によるコミュニケーションの問題点(論理性、情緒過多)の根本原因を、日本語が詞と辞で構成される膠着言語だからという点に求めているのは、何ともお粗末な。それだったらそれで、じゃあどうしたら良いのか言ってほしい。読解力がないせいか、単に昨今の言葉の乱れに物申す的な内容にしか思えなかった。



70. ○ "家守綺譚" 梨木香歩

物書き青年に恋したツンデレ百日紅の話で始まる、明治期の書生を主人公にした連作短編集という趣き。各短編には木々の名前がつけられ、それが示す通り、擬人化された木々との言葉なき語らいが主題となっているようだ。その世界観をより強めるように河童や狐狸の類も出てくるけども妖怪物語というウェットな雰囲気はなく、季節が移ろいゆくままに文章も爽々と流れていく雰囲気なのが心地よかった。ただ、ストーリーはあって無きがごとくなので、雰囲気を楽しむエッセイ小説と言ったところか。