「Winnyの技術」金子勇

joyful2005-10-10

さくっと読んでみたけども、なかなかに面白かった。
まぁ、大筋は噂や想像で推測していた処理内容だったけれど、匿名性重視と言われていたWinnyの匿名性の根拠とか、かけた鍵を金庫の上に置いたようなものと言われていた暗号化の実際(著者曰く「無いよりはましという程度」)が分かったりして、なるほどなぁとようやく腑に落ちたところも。
P2Pネットワーク形成に重要となってくるリンク接続のポリシーやクラスタリングアルゴリズムについても、わりと細かいところまで明らかにしてはいるけども、著者自ら認めるように、こういうのはバックボーンとなるIPネットワークノードの構成によっても、また、P2Pネットワーク上でどういうアプリケーション(ファイル共有なのか何なのか、それにファイルの内容によっても)によって違ってくるから、結局は実際の運用での微調整で対応せざるを得なかったという状況も知ることができて、興味深かった。
でも、一方で、実際のWinnyネットワークが稼働している状態で、個々のノードが接続・離脱を行っていく様子とか、検索や転送の統計的な振る舞いに関して、何らかのモデルが得られていればなぁという思いも。ネットワーク全体の管理機構がなかったということで、それは無理だったようだけど。
あと、本書の出版に平木先生が関わっているというのもちょっとびっくり。著者は東大助手ということだったけど、平木先生の近くの人だったのかな。