「LAST KISS」 佐藤ケイ

主人公高校生男子の一人称(神戸言葉?)で、会話も多いので、厚いわりに2時間もかからずに読める内容、まさにライトノベル…。ま、ストーリー自体はベタで直球でヒネリも何もないし、説得力ない設定や技術的に稚拙なところはあったけど、直球としての良さは出てたかな。涙もあふれたし…。
こないだの「ロード88」もそうだけど、直球なこと自体は別に悪くないと思う。何も、小説や映画が一歩一歩「進化」していかなければならないわけじゃないし、その時代時代で、そういう作品に初めて出会い、感動する人もいるわけだしね。これらの作品を見て、骨髄バンクに登録しようと思いたつ人もいるかも知れない。
でも、経験豊富な、とは言わないけど、他のいろんな作品を見て、読んできた者からすると、いつか来た道…な感じが拭えないんだな。ストーリー的に、何か驚きというか、sense of wonderがある展開だったら良かったんだけどね。展開が分かりすぎて、まぁ、泣けるんだけど、涙ながしながら「やっぱこういう展開か、見えすぎ…」と醒めた心で思ってしまうと、かえって自己嫌悪に陥ってしまうじゃないか(そもそも病気少女ネタが直球すぎるんだから、その他の部分でひねらないとダメでしょうに)。
やっぱり、この作品の場合は、二人は実の兄妹であるべきだったと思うなぁ。そういう制約の上だと逆に直球はやりづらいだろうからね。