四国遍路行 第2日目 23:50

朝7時に宿屋を発ち、すぐ近くの10番切幡寺に行く。まだ、朝も早いためか、参拝客は誰も居らず、納経所*1も閉まっている。そこで、参拝を済ませた後、本堂からちょっと登ったところにある大塔に行ってみた。切幡寺自身がすでに山の中腹にあるので、さらに上にある塔からは、昨日歩いて来た、そして今日歩いていく平野と、その向こうには今日越えて行く山々が見渡せる。朝でいくぶん霧のかかったその景色は、この数百年、そう大きくは変わってないんだろうなと思わせる雰囲気があった。何人の遍路たちが、ここから次の札所を見やったことだろう…。
時折、ぽつぽつと雨が降る中、目の前に見えていた平野を抜け、吉野川を渡って、向こう側の山の中程にある11番藤井寺に着いたのが9時半。そこにはすでに4人の歩きと見られる遍路たち。内、3人は大学生くらいの男女。きっちりと白衣(びゃくえ)も来て、唱えるお経も様になっている。今日はこの後、12番焼山寺で大学生くらいの男性、中学生っぽい少年たちと彼らを引率している大人のグループなど、きっちりと遍路スタイルでしかも歩いて回っている人たちを見かけた。昨日にも増して、歩いて回ってる若い人って多いんだなぁと実感。しかも、車で来たに違いない若いカップルも白衣を着てたりする。うーん、八十八ヶ所信仰ってかなり根付いているのかな…。そんな中では、ジーンズ上下の自分は結構場違いに思えてくる。
11番から12番へは山を越えて行かねばならない。ここからは延々、13キロあまりの山道行。っていうか、けもの道だった。人がすれ違うのもやっとな広さの道で、しかもこないだの台風で倒れたと思しき木が数カ所で道を塞いでいた。そんな山道を5時間(普通は6、7時間かかるらしいけど)歩きに歩く。しかも、行き行けど一人。すれ違うのはまぁいないとしても、追いつかれも、追い越しもせず、めちゃめちゃ寂しい。と思ってたら、一人の男性を追い抜いたんだよね。その人、山を登る道(繰り返すけど、けもの道)で自転車の傍らで休んでいた。驚いたことに、自転車を抱えてあの山道を越えてきたらしい。すごすぎ…。息が上がって足がくたびれたら休んでを数回繰り返して、ようやく12番焼山寺に到着した。あの山道を5時間で渡ってくるなんて、やっぱりすごいじゃん、自分って感じだ。今日はめちゃめちゃ自分を褒めてあげたい気分。
遍路ころがしの異名はダテじゃなかった。雨の後だから、道は滑るし、笹が生い茂ってきてる。しかも、急な登りに、急な下り。こんな山道を昔の遍路たちはほんとに通って行ったんだろうかと不思議になった。しかも、昔は目が見えなかったり、病に冒された人達が多かったはずなのに。高群逸枝といっしょに歩いたおじいさんは70歳過ぎてたんだよ。しかも、二人分の荷物を背負ってるわけだし。そこまでさせるのって、やはり、信仰なのかなぁ…。
12番から山を降りた時点でもう足が限界っぽかったので、今日は13番に行く途中で宿を取った。神山温泉のそばにある宿で、おばちゃんが温泉の回数券をサービスしてくれたので、夜、存分に温泉を楽しんできた。いやぁ、極楽極楽。あれだけ歩いた疲れが吹っ飛び、まではしないけど、今日一日を感謝したい気になった。うーん、やっぱりお大師様のおかげです、合掌。

今日の行程

ポイント到着時刻次までの距離
宿屋 7:00 0.5km
10番切幡寺 7:15 9.8km
11番藤井寺 9:3012.9km
12番焼山寺14:50 9.6km
宿屋18:0015.7km
所要時間移動距離総移動距離
11h00m32.8km59.8km

*1:参拝は本堂と太子堂でロウソクと線香を灯してからお経を唱え、納め札という紙を奉納する。で、お経を納めたという証しとして、寺ごとの朱印と梵字っぽい書をしたためてもらえる。