「ヒトクイマジカル」 西尾維新 【ネタばれ注意】

うーん、正直、読み物としては面白くないね。大きな物語の伏線に過ぎないという狐さんの言葉そのまんま。さんざっぱら伏線張りまくって、お決まりのいっきーが無茶した後には死屍累々で旗幟鮮明。まぁ、今後の展開に期待させるinterludeって意味あいだったと思えば、壮大なアカシック・レコードの中で哀川さんやいーたんの持つ意味合いを匂わせるには十分な小ネタ満載だったけど。しかし、木賀峰教授や朽葉ちゃんが登場した意味は?不老不死は単にいの字のいつもの循環小数的お悩みにちょっとした擾乱を与えるためだけのネタ?実に語られえぬものが多すぎる…。
やはり、西尾維新はキャラ萌え小説なのだなぁという印象を強くする。それにしては、こうも簡単にキャラを退場させるかって、まぁある種の潔さには脱帽するけどね。姫ちゃんもいいキャラしてたのに…。あれだけ強かったのにあっさり死んじゃうと、これから出てくる人たちはものすごくつおいんだろうなぁ。力のインフレーションを起こさないように、うまいこと閉じてもらいたいとこです。


ところで、今、たまたま、高野悦子の「二十歳の原点」を読み直してるんだけど、この二人って、ともに立命館なんだね。一人は二十歳を終点にして、もう一人は二十歳を始点にして。30年余の時を隔てて、同じ二十歳を原点とした人間がこうも違った世界に生きていた/生きているのかと思うと、たった30年という時間でも社会や人の在り様を様変わりさせるには十分な時間なのだなぁと実感する。69年から始まった長い長いけだるい平和、けだるい日常の中で、いーくんもやっぱり悩んでるんですかね。哀川さんや玖渚なみに突き抜けて生きれればいいんだけど。