「eb - esrevnoc better」「エー像」 esrevnoc  〜女の子の終焉〜

Quinka, with a Yawn が以前やってたというバンド esrevnoc のメジャーデビューアルバムとPVを集めたDVD。インディーズ時代の曲が多いらしい。1曲目の「sweet strawberry toast」(「あしたまにあ〜な」のテーマ曲)から始まって、全編、pop, cute, lovely というキーワードでくくれるような曲のオンパレード。やぶうち優のマンガじゃないけど、歌詞とかコーラスの付け方とか、結構、恥ずかし〜かも(いい意味で)。ミッコの特徴的な声は Quinka そのものだけど、曲の雰囲気はまるっきり違う。Quinka ののんびりしたというか、だらだらした雰囲気の方が好きだけど、 esrevnoc の路線も、別個のものとして聞けばそれはそれとして好きなタイプ。

この手の、大人の『かわいい系女の子』バンド・歌手(マーケットでの認知はこうだろうなぁ)って、最近はほんといなくなったような気がするなぁ。ZONEとか松浦亜弥の『ほんものの少女』バンド・歌手の出現でファンの獲得が見込めなくなったからというレコード会社側の戦略かしら。それとも、最近では、そういう音楽を目指すハイティーン〜20代の女性が少なくなったというインディーズシーンの状況なのか…。

97年のモーニング娘。の登場以来、かわいいものを求める指向のファン層はそっちの方に流れていってる(その前から声優アイドルの隆盛ってのもあったけどアングラだった)し、それ以降、10代半ばのアイドル系歌手は増えてきてるしね。異性側からの需要の変化はやっぱりあるんだろうね。

一方で、こないだ、日経BPの記事で『オリーブ』世代の女の子の終焉が語られていたように、少女が『女の子』をすっ飛ばして大人の女になってしまう昨今だと、『女の子』というモラトリアムな状態での音楽を志向する人たち(もちろんそれを聴く女の子たちも)が減っているというのもあるのかも。昔だと、川本真琴も女の子を感じさせたし、めちゃめちゃリセエンヌって雰囲気だった miyuki という歌手(この人、好きだったんだけどなぁ)もいたのに。バブル時代に少女期を過ごして夢見る女の子になりえた最後の世代があの辺りだったのかな。esrevnoc もデビューこそ遅いけど世代的にはここなんだよね。ここでふと思い出した Tommy February 6。ただ、あれはリセエンヌをパロって作り出された存在だからなー。今はああいう手法でしか『女の子』できないのかも。

さて、話を eb に戻すと、「sweet strawberry toast」もいいけど(CDのアレンジはあしたまのテーマ曲のものではなくって「エー像」の方が近い)、pop & cuteという点では「bee charmer」もおすすめ。こういう曲だとミッコの声が生かされてる感じがする。あと、2曲目の「恋に恋して泣いた」も思春期へのノスタルジーをかきたてるようなリフが印象的でいい曲だと思う。恋に恋するなんて、まさに『女の子』の特権だったもんね。とにかく、cuteなのが好きな人には是非聞いてみてほしいCDかな。