「少女少年」1〜3 やぶうち優

やぶうち優って水色時代以来だけど、本屋の新刊平積みでこのマンガを見つけて、懐かしさも半分ありぃのというわけで買ってみた。

一つの物語かって思ってたら、各巻ごとにぜんぜん別個のお話なんだね。ただ、基本コンセプトが共通で、簡単に言うと(わざわざ簡単にしなくても、もともと簡単なのだけど)、『男の子が女装して芸能界で活躍する』という感じ…。このコンセプトからして、相当に甘ったるい話が展開されそうだけど、この作品シリーズ、もともとの連載が『小学6年生』なわけで、読者層を意識したのか、それともやぶうち優の本領発揮なのか、完全、王道一直線のめちゃめちゃメローなお話でした。恥ずかし〜とか思いながら読むのが、やぶうち優の正しい読み方だとすると、期待は背かなかったというか…。いやはや、恥ずかしながら、面白く読みましたです、はい。(^^;;

1は、間違ってスカウトされてアイドル歌手になるという直球勝負。芸能界でのライバルに、気になるんだけどつい口げんかしてしまうクラスの女の子と、いたって分かりやすいお約束な設定で、のっけから恥ずかしくなること、請け合い。んでも、やっぱり、やぶうち優の絵って可愛いね…。口絵のカラーイラストからして、やられます。

2は、ちょっとひねって役者の話。1、3とは違って、この話だと女装してることに気づいてしまった男の同級生ってのが出てきて、その子とドラマで共演して…という、ちょっと変わった展開も楽しい。けど、作者あとがきでも書いてあるけど、コンセプトは『母をたずねて芸能界』なわけで、(ちょっとクサい)感動ドラマが混ざってくるのは、やぶうち優っぽくないなぁって感じで、いまいちかな。

3は、女の子アイドルグループのメンバーになるという話。田舎に残した幼なじみの女の子、グループ内でのライバル的存在、と、構成は1とかなりダブってます。ただ、ちょっとした感動要素も加わってるし、また、なによりも、男であることがファンにばれないまま引退という点で、結構、ポイント高い。

ただ、このシリーズ、難点は短いってことかなぁ。月刊誌の1年連載だから仕方ないんだろうけど、あれあれっていう間に展開していって、あっという間に幕引きってのは物足りない。そして、その分、主人公の心の葛藤はあんまり描かれないんだよね(やぶうちマンガに期待してはいけない?)。メインの読者の小学6年生たちは満足してるのかな??

メインの読者と言えば、このシリーズ、男の子たちにはウケはよくなくって、女の子たちに意外とウケてるのだそう。そりゃまぁ、女装ネタを喜んで読む男の子なんてごくごく少数派だろうし、基本的には少女マンガだもんね。しかし、この手のコンセプトで6年間も連載してる(少なくとも今、6巻まで出てる)ってのもすごいね。