今日の読了

63. ○ "創価学会" 島田裕巳

オウム以前はメディアでもよく顔を見ていた島田氏による創価学会解説本。
創価学会と言うと日蓮仏教系の新興宗教という知識しかなく、学会系出版社の日蓮正宗批判や新潮社批判を電車の中吊りでよく目にしては宗教とはやはり独特の閉鎖空間だなと感じていたくらいだった。
で、本書を読んで、ようやく、創価学会の誕生から今日までの流れ、日蓮正宗との関係と最近の確執について知ることができた。今でこそ日本最大規模の団体組織となっているが、それが高度成長期の折伏大行進(このネーミングもなかなかすごい)の成果によるもので、たかだか50年ちょいくらいの歴史しかないとは意外だった。
それと、これまたSGIグラフの電車中吊りでよく目にする池田名誉会長(世界の有名人とよく対話している)が学会で果たした役割というのもよく分かった。若くして頭角を現し、例の折伏大行進で会員数の爆発的増加を実現した人ということで、それならあれだけの偶像化がなされているのも納得できる。
いろいろ批判も多い創価学会だが、本書は最初にも述べてあるように客観的視点での記述に努めたそうで、それは実際のところ、かなり達成できていると感じる。創価学会について、淡々とした事実を知りたいという向きには、手ごろな一冊だと思う。


62. ○ "オロロ畑でつかまえて" 荻原浩

井上ひさしの「吉里吉里人」を思い起こさせるような、田舎の村おこしドタバタを描いた小説。村おこし青年団と弱小広告代理店の共謀が思いもかけぬ方向へというストーリーだけど、広告制作の各プロセスを章題とし、そのプロセスを象徴する内容になっているのが面白い。村おこしイベントを広告制作として見ることができるという点で。
小説のタイトルは「ライ麦畑」が元ネタなのだろうが、「ライ麦畑」を読んだことないので、どういう点で関係しているのか、はたまた関係してないのかは、分からない。自分はそれよりも、小林信彦の「オヨヨ」シリーズの方を連想してしまった。