今日の読了

43. △ "崖の館" 佐々木丸美

7〜80年代の少女マンガを思い起こさせる雰囲気の小説だった。少女の内面の脈絡のない描写、現実世界と心象世界のたえまない行き来、シーンの繋がりに明確な切れ目がなく溶融しあうところにそういう印象を感じた。まさに、あの当時の少女マンガを小説にした印象。本書の解説でも語られているとおり、登場人物のメンタリティでもその特徴は見える。
結局、面白いのか面白くないのか。人物描写があまりに少女マンガ調で、具体味・生々しさに欠ける点で面白くない。一方、衒学趣味や形而上的な動機という本格・アンチミステリ的な雰囲気はなかなか好きなのだが、ストーリーとしての結末があっさりしすぎなのも。