「魔法」 クリストファー・プリースト

ネタバレです。


ようやく読み終えた。でも、何と言ったらいいか…。個人的感想としては、全く面白くなかったです。

あらすじ:事故に遭って記憶をなくした男とその元カノ、そして、元カノの元カレ・ストーカー男のぐたぐた劇。そんだけ。

記憶喪失の男と自称元彼女の女という設定や、サナトリウムでの催眠療法中に起きたとされる出来事と、最初の導入はなかなか期待させるものがあった。ところが、その後、南フランス旅行での二人の出会いに関する男の思い出テクストが挿入された後、男が退院してからの話に移るのだが、女から聞かされる出会いの記憶が微妙に男の記憶と違っている。そして、一向に姿の見えない元カレストーカー男。まぁ、この段階でも、かなりぐだぐだしてて辛いのだが、それらの理由がきれいさっぱり解明される時を期待して、なんとか我慢して読み進めていくと、引っ張りに引っ張って、あれれと思わせる結末。はぁ、こういう説明で終わりですか??
いや、いいんですよ。元カレの姿が見えないのが、○ー○ー○○だってのは。途中で出てきた、その心理的要因による説明はなかなか面白い説だったし。でも、男の記憶(テクスト)と女の話との齟齬の説明があの結末で済まされると、脱力せざるを得ない。今時、夢オチの作品を見せられたように。
夢オチも初めて体験する場合だったら、目新しさも感じるんだろうけどね。そういう意味で、この作品をこの21世紀になって読んだというのが、そもそもの不幸だったのかも知れない。
ただ、プリーストの「奇術師」も、ただ筋を追うだけのように読んだ自分としては、プリースト作品のテイストが性に合わないのかもなぁ。