「げんしけん」1〜4 木尾士目

秋のアニメ新番組をチェックしていて、目に入った異様なタイトル「げんしけん」。普段、マンガは単行本になってから、それも書店の平積みで目にしてようやく存在に気づくような人なので、このタイトル見たときも、一瞬、統一教会かよっと時代錯誤な幻視をしてしまった。ほんと、いつの時代だよ…。
今回、初めて買ってみたけど、いやぁ、面白いね、これ。大学のオタ系サークル「現視研」のドタバタが非オタ一般人女性の春日部さんを中心に描かれるストーリー。最初、春日部さんはサブキャラかと思ってたけど、その影響力ゆえに、完全に主人公ですな…。ほんと、いいキャラです。
オタクの日常(=一般の非日常)を一般人からツッコませることで、ギャグとしても際立ってくるし。特殊な状況を一般人の視点から描くのって常套手段だけど、オタクと普通の女子大生(春日部さんが普通かどうかは置いといて)という、ある意味ベタだけど両極端が交わいうるのも、大学・サークルという特殊状況がなせるわざなのかも。「究極超人あ〜る」のさんごと光画部の関係も同じようなもんだ。
でもまぁ、このマンガ、女性キャラの生き生きとした感じに比べて、男どもはかなり存在感薄いな…、唯一対抗できるのは斑目くらいか。高坂も春日部さんを登場させるための存在としか見えないし。そういうジャンルだからか、作者の嗜好からか。逆に女性はみんな強烈な個性を放ってる。春日部さんのタカビーな姉御キャラに、大野さんはおっとり、巨乳なコスプレマニアのオヤジスキー、副委員長の北川さえもメガネな優等生の二重人格的性格キャラ。こうして見ると、女性のキャラ造形用には、いわゆる萌え属性(記号)が数多く確立されているけど、男性キャラに対してはそういう記号が細分されていないということなのか?結局は、対象への視線の強さ、作・読者の性差ということなのか…。

自分は大学の頃、オタ系サークルに入ってたわけじゃないんだけど、このマンガ読みながら、大学時代をなんとなく思い出してしまいましたよ。現視研アニ研漫研という主流派から外れたところで活動してたように、自分がいた「○ん○けん」も、全くの非主流派だったしなぁ。しかも、2代目会長の下(歴史浅っ)、つるぺた傾向の先輩もいたし…。ただ、つるめる部室がなかったのと、女性部員がいなかったのが違いと言えば違いか。初めて行ったコミケ会場の前で並んで開場を待ってたのもあの頃か。ただ、自分は笹原ほどの「覚悟」はありませんでしたがね…。まぁ、「アタシャ、これっぽっちもオタクじゃないんだよ」(春日部さんの弁)ということで。