恋風〜揺さぶられる価値観

joyful2004-06-12


絵とかの雰囲気は好きなんだけど、内容がアレなだけに毎週、欝な思いをしつつ見ているアニメ、恋風。できるだけ気持ちが沈んでしまわないように、先に「天上天下」の方を見て、ある程度、気持ちを昂揚させておいているのだけど。

今日、今週分を見た。疲れた…。

社会の価値観に背を向け、破滅に向かってひた走る二人の姿は、見ているだけでもかなり疲れる。このシンドイ感、ふと、「光の雨」で見た連合赤軍の雪中行軍のシーンを思い起こした。自分たちの気持ちだけ、自分たちの価値観のみを基準にしてしまうと、結局は行き止まりの破滅への行軍を開始してしまうだけなのだ。そして、結局、この二人も踏み入ってしまった。
自分の気持ちを抑えられずに道を踏み外すことを、自分の気持ちに正直なだけという理由にもならない言い訳で自分をだまして納得させるのは、何もこの兄貴だけでなく、今のこの国に生きるものにはよくある光景なのだろう。そういう意味では、以前なら完全な拒絶しか受けなかっただろうこのような内容のアニメが、深夜枠とは言え、通常放送で流されているのは、そこにある程度の共感も予想されたからに違いない。「本人たちが良いんなら良いんじゃない?自由だしね…」

千鳥は兄貴を好きだと思ってたのになぁ。妹に凄まれて諦めてしまうようなら、それほどでもなかったんだろうか。それに、妹に凄まれてたとえ自分が入る隙すらないと分かっても、どんな手段を使ってでもあの二人の関係を壊すように動いて欲しかった。千鳥は社会や旧来の価値観の代理者なんだから。あそこでさっさと諦めるということは、社会が個人を律する機能を放棄したように見える。


恋風GANTZ、今期放送されているこの二つのアニメは、見ているだけでも、ガラスを引っかく音のように神経を逆なでてくれる。自分の行動基準、価値観という一番根底の部分を揺さぶるから。見ていてここまで気分悪くなるのは、普通のドラマではありえないだろう。アニメの方が暴力的というのはある意味、合っているのかもしれない。