The Day After Tomorrow(ネタばれ) 21:00

ちょっとでかけたついでに、久々に映画を見てきた。ミニシアター系で何か面白そうなのやってるかと思ってたけど、あんまりそそるタイトルがなく、仕方なくシルミドとThe Day After Tomorrowの前売りを買った。で、何の気なしにThe Day After Tomorrowの方を見に行ったら、公開初日の割りには結構、席は空いてた。CMとかも流れてるの見たことないしね。
どういう内容だか全然知らず、ただ映画館のポスターで街が凍る映画という知識だけ仕入れて行ったのだが、予想外にというか、かなり面白かった。流れはよくあるパニック映画の王道そのまんまで、最後は親子愛でお涙頂戴かよっという気もしないではなかったけど、お涙あげてしまいました、ちょこっとだけ…。


あらすじ:南極の巨大な棚氷が崩壊して海流に大きな影響を与えた結果、気象に大変動が起こり始めた。竜巻でロスは壊滅し、NYは大津波で押し流される。やがて、超巨大な低気圧が発生して地球の気温が低下し始める。さらには、そこでは気温が一気に-100度以下に低下するという低気圧の目がNYへと向かい始めた。取り残された息子を救うために、古気象学者の父親が極地装備でNYへと出発する。


天変地異の映像続出で、もちろん、それら全編に渡ってCG。そういう意味ではほとんどCGアニメを見ているような映画なんだけど、ほんと、最近のCGってよく出来てると感心した。緻密さという点じゃ、映画のスクリーン上で実写とCG、現実と虚構を見分けることができなくなってきている。さらに、CGでは、現実じゃ撮れないようなカメラワークが可能になるから、逆説的だけど、かえって現実味・臨場感を増すような効果も現れるし。この映画の映像を見ながら、もし自分が実際の天災に遭遇したとき、現実じゃなく映画でも見てるのではと、現実かどうかの判断に迷ってしまうようになるんじゃないかと不安に感じたりもした。
そんなCGの凄さ・美しさもさることながら、それよりも興味深かった点は、アメリカ(先進国)批判のトーンがあからさまで、そういう部分に関しては滑稽な雰囲気を与えていたということ。映画の冒頭、京都議定書を批判する副大統領のシーンから始まり、最後は El Paso の国境を雪崩をうって逆流するアメリカ人の群れ。メキシコのお情けにすがるしかない大国アメリカの姿を強烈に印象づけていた。この映画内の副大統領は、今のブッシュ陣営のカリカチュアライズされた象徴なんだろうけど、彼の最後の転向に溜飲下げる観客も多いんじゃないかな。特に、最近のアメリカに苛つきつつも諦めに近い無念さを感じてる人たちには。まぁ、安い溜飲ですが。
その他、妹に恋したイカレ男の本を含めて図書館の本を手当たり次第、暖を取るために焚いたり、グーテンベルク聖書だけは後生大事に守ったりというシーンも、本に対する微妙な愛憎を感じさせて興味深かった。これはローランド・エメリッヒの嗜好なのかな。


その反面のダメな点。冒頭の千代田区の屋台のシーンが、ブレードランナーか戦後の闇市ですかとでも言いたくなるような無国籍さ、現実無視が白けた。片言日本語のサラリーマンが千代田区の屋台で明るいうちから一杯引っ掛けて帰るって…ありますか??CGに金かけるんならもう少しセットをちゃんと作るか、いっそ、そんな変な東京のシーンなんか入れなければいいのに。どうせ、都合よくロスとNYが襲われるアメリカ=セカイ系映画なんだし。