「お遍路入門 ― 人生ころもがえの旅」 加賀山耕一

「はじめに」で著者自ら宣言しているように、本書は、従来の「巡礼」「遍路」本にありがちな解説書・紀行文とは異なる趣きがある。きれい事ばかり書かれがちな一般書の正反対にある、裏ガイドブックという風情だ。でも、地球の歩き方みたいに微にいり細をうがつほどではなく、基本は薀蓄本なんだろうけど。
ただ、この著者の文体がやや個性的なので、人によっては五月蝿い文章だと感じるかも。余談が多いんだよね、それもどうでもよさそうな個人的なものが。最初の頃はそれが鼻に付く感じだったけど、最後まで読んだら、著者なりの味かなぁという気になってきたのは、内容自体が面白かったためか。
札所の由来とか地図とかはそこらへんの数多存在するガイドブックの類で簡単に手に入るけど、白衣・杖などの実際的効果(宗教的意味ではなく)とか、野宿する際に気をつけた方がいいこととかはなかなか簡単に知ることはできない。実際に歩きながら、少しずつ学んでいくという人が多いだろう。そういう裏マニュアル的な知識もちょこっと仕込める分、本書は実際に歩き遍路しようと思ってる人には役立つんじゃないかなと思った。