「失踪日記」 吾妻ひでお

あらすじ:漫画家 吾妻ひでお、締め切りから逃げて失踪、ホームレスとなっての「生き様」を描く。野生の大根やキャベツを食らい、天ぷら油をすすり、凍死寸前になって関節が泣く音を聴く。
漫画家 吾妻ひでお、再び、締め切りから逃げて失踪、配管工となっての「生き様」を描く。先輩にたかられ、いじめられ、研修を受けて配管工として生きる技術を磨く。
漫画家 吾妻ひでお、アル中となって精神病院に保護入院させられる。アルコール依存症患者がつながるAAミーティングの様子や、病院に潜入しているシスターのT女王様をはじめとする様々な人との出会いを描く。


文句なしに面白い。「全部実話です(笑)」と書かれているし、ストーリー的にも非現実的な部分の全くない、リアリズムに貫かれた内容にも関わらず、悲壮感は一切なく、逆におおいに笑える。漫画家としてある程度の地位を築いた(たぶん)人が現在の生活から逃げて、ホームレスとして日雇い労働者として、生き抜いていくというギャップ感も面白いし、人間って今をリセットしてもそこそこ生きていけるもんなんだなと感心したりもした。
吾妻ひでおってまじめに読んだのは初めて。大学時代に研究室に転がってたのを読んだ記憶はあるんだけど、「美少女」漫画家としての評判とのギャップに、??と思ったような…。時代が移ろっていたからなぁ。