「GO」 2001年、日本、行定勲監督

公開当時、いつか見に行こうと思ってたんだけど、結局行かずじまいで、ようやく今日、39円DVDレンタルで見ることができた。別に39円じゃなくてもいつかは借りて見ようとは思ってたけど。
公開当時に見た知人の意見だと、在日からは結構好意的な意見が聞けたけど、映画好きの日本人からはイマイチという意見があったのを覚えている。ま、見るポイントが違うから何の比較にもなんないけどね。で、自分の感想としては、ちょっとイマイチかなぁ、と。これは原作を最初に読んだ人間の、映画そのものに対する評価として。
原作は出版当時に読んだからもう3年くらい前になるのかな。小説の方はかなり良いと思った印象がある。在日が主人公の「普通」の小説ってすごく新鮮だったし、何よりもその文章の雰囲気が、つるんとした透明感があるんだけどちょっとやそっとじゃ割れない硬質ガラスって感じで、小説のテーマ自体とともに、強く印象に残ってた。
でも、この映画の方はどこか質感が違うんだよね。無機的な硬質さがなくって、どこか湿った有機物的感触を感じさせる。どうしようもなく普通の映画になってしまっているように思った。同じ窪塚洋介主演の「ピンポン」の方がまだそういう硬質さには近い所にある(これは漫画原作の脚本・演出から来るものかも知れないけど)。
それと、脚本が官藤官九郎なんだけど、話も台詞回しも普通に感じてしまった。この人ってもっとエキセントリックなものを書くというイメージがあったんだけど…。
もう一つ、主人公杉原を演じる窪塚君が、時々、杉原じゃなくって窪塚洋介になっちゃうのも興を削がれる。「ピンポン」のペコがしていた仕草にダブって見えて、意識がストーリーから引き剥がされるようで。
そういうわけで、映画としてはあんまり見るべきものはなかった。