「おつきさまのかえりみち」 三浦靖冬

あとがきで作者が心配しているように、表紙のイメージだけで買ってしまいました…^^; H系とは知らなかったのです。本当ですってば。
でも、昭和30〜40年代っぽい雰囲気を漂わせる世界観、どこか儚げで脆く崩れてしまいそうな少女たちの描写って結構うまいんですね、この人。その少女たちが…なんで、あれなんですが。
宮沢賢治とか小川未明あたりが引用されるあたり、この人の趣味なのか、この作品の世界観構築のためなのか、他の作品を知らないので何とも言えないけど、無垢で残酷な少女性を描くための補助線としてはすごくいい小道具だったような気がします。
そういうノスタルジックな世界での、どこかファンタジーっぽい物語が綴られた短編集なんだけど、かなり面白く読みました。ただ、短編な上に18禁描写が入ってくるから、メインの筋自体がちょっと薄くなるんだよね…それがちょっと残念。この人って、Hネタがなくても、十分に面白い作品描いてくれるんじゃないかなって思うんだけどなぁ。次の作品に期待。